マッチは遠くなりにけり

 先週のサザエさんで「お灸を据える」という回があった。今は比喩として使うことが多いけど、昔はしつけの一環として本当に文字通りお灸を据えていたんですね。波平の双子の兄、海平兄さんが親に叱られて灸を据えられているのを見て、自分の子供には絶対しないと誓ったとのこと。そのお灸を据える話の中で、マッチが出てきて、マスオさんが言ったのがタイトルの一言でした。

 年末年始に実家へ帰省したときに、久しぶりにマッチを使った。うちはお寺でロウソクや線香をつける機会が多いし、暖房は全部石油ストーブで、チャッカマンもあるけど、すぐにガスが切れるから結局マッチでつけることが多い。石油の調達が面倒で、実家を離れてからの暖房器具といえば電化製品ばかり。周りにタバコを吸う人が多いから、たまーにライターがなくてマッチを使っているのを見ているくらい、かなり遠ざかってしまった。

 たしか初めてマッチを使ったのは、小学5〜6年生くらいの理科の授業。アルコールランプを使った実験で、結局そこで何を温めたのかは覚えていないけど、これまで怖くて避けてきたマッチをついに自分の手でつけなければいけないのかと意を決し、自分が恐る恐るやっているところ、手慣れた手つきでシュッと火をつけたクラスの男子がものすごく格好良く見えたのを覚えている。今もアルコールランプ使う授業はあるのかな?

 なんと言ってもマッチはジャケが良いよね。とくにデザインにこだわったパッケージというわけではなく普通に家庭用で出回っているジャケが良い。最近は百均等でもよく見かけるので、全く用途がないのに思わず買ってしまいそうになる。いつか行った21_21_design siteの展覧会でも作品として展示されるくらい芸術的にも素晴らしいのですよ。

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 想像するに、マッチの生産は古き良き会社がずっと担っていて新規参入はなく、デザインも新調せずにずっとそのまま作り続けているんでしょう。なので、ジャケが良い。つまり古き良きものということ。日本は生き急いでいるよ、未来ばかり見ている。新しくて便利なものが良いものだとは限らないと常々思います。

 同じようなもので言うと、例えば缶詰とか、

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蚊取り線香とか、

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買ったことないけど、薬局で見かける「ロイヒ」のジャケもずっと気になってます。

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 レトロ、という言葉をあまり使いたくないんですが、こういうジャケがたまらんですね。ずっと続いて欲しい。近所のコンランドリーのように、なくならないように定期的にお金を落としていかなければならないものの一つです。マッチの話でした。