骨と石を想った休日

 この2年、コロナという良い言い訳があるため、休日はもっぱらひきこもりの私ですが、先日久しぶりに朝から夕方まで出歩きました。と言っても、ハナから気合いを入れて出かけたわけではなく、仕事だと思って途中まで出勤したら、うっかり休みだったことが発覚し、そのまま外で過ごしただけです。2月本気でぼけぼけで困る。あー、うっかりうっかりー!

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 この日の私はだいぶとアクティブでした。まずはずっと行かねばと思いながら最終日になってしまった東京国立近代美術館の展覧会へ行き、2時間半ほど過ごしたのち、雨が降る中、竹橋から神保町へ歩き、カレーランチ。神保町で古本屋をいくつか覗こうかと思ったが、めんどくさくなってそのまま電車にのり、大手町から東京駅へ。目的は大丸に入っているMorozoffのチョコだったんですが、ついでにいろいろ見てみようかなと。東京駅に着くと必ず足が向いてしまう、荷物が増える前にと、先にKITTE 2Fにあるインターメディアテクへ行きました。

 休日ということもあり、思ったより人が多くてがっかり。入場無料で人がいないという「私だけ知っている場所」感がすごくよかったんですがねー。くそう、と思いながら、コインロッカーに傘と荷物を預けて展示室へ。と、前言撤回。なんとも落ち着く、なんて心地良い、これこれ〜!とテンション爆上がりで、人の多さなんて何も気にならなくなりました。

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 いきなり人骨でびっくりしましたかね、説明しそびれておりましたが、ここは東京大学の研究室がコレクションしているありとあらゆる標本が収められている博物館です。動物の骨格標本と剥製、植物、昆虫、化石、鉱物、などなど、あらゆる図鑑が実体化したような場所で、大変お気に入りなのです。

 ↑人が掃けた瞬間を狙って写真を撮ったら、監視スタッフのお姉さんが来て「こちらは撮影禁止でして!」と強め注意されて、しょんぼり。しかしまあ消さなくてもいっかとこの通りですすいません。

 前々から読んでいる「アヤメくんののんびり肉食日誌」という漫画がありまして、T大学理学部の研究室での(いちおう)恋の話なのですが、その研究室というのがやや特殊で、動物の死骸をもらってきては解剖して、骨にしてきゃっきゃ言ってるようなところで、古生物学というらしいのです。古生物、つまり最終的には恐竜の化石の発掘が目的なのだけど、そのためには、まずは現代の生物について学んでいくというわけですね。

 恐竜は好きだけど、こういう学問があったとは考えたことがなかったですし、さらには、発掘した化石をクリーニングをする「プレパレーター」という職業まで出てきて、自分の浅はかさを知らされました。これから恐竜が好きなんて軽々しく言ってはいけないな。

 漫画「アヤメくん〜」で「プレパレーター」として出てくるのはNYで仕事をしている日本人なのですが、その人曰く、日本ではあまり確率されていない職業で、発掘や博物館職員の仕事の一環としてあるのだそうです。その背景には、研究費というものが、どうしてもこれからの未来を担う医学や物理学などに割かれてしまって、昔の研究をする学問にはあまりまわってこないという大人の事情もあるのだとか。こういうところに日本のやるせなさを感じますね。

 先日見た「世界ふしぎ発見!」では、今ドバイで開催中の万博の特集で、その豪華絢爛さに目を奪われました。そもそも万博とは産業革命後に各国の技術力をアピールする場であったと思うのですが、一番最初のロンドン万博はなんと1851年、日本はまだ江戸時代です。刀を持ったちょんまげ侍が行き来している頃に、ロンドンでは↓のような景色があったということです。(写真は移築後ですが)

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 現在、東京国立博物館で「ポンペイ展」が絶賛開催中ですが、ポンペイが火山灰に沈んだのは、紀元後79年、日本は弥生時代ですよ。なんてこった!

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 日本人がようやく「狩りから稲作へ」(by レキシ)、定住を覚えた頃に、ヨーロッパではこれだけの街ができていたわけです。「テルマエ・ロマエ」でルシウスが温泉施設の建設に悪戦苦闘していたのもこの時代です。

 今の日本の生活水準を考えると、戦後日本の高度経済成長がとんでもない角度での成長だったと想像しますが、超超超出遅れたスタートが精神性として未だ足を引っ張っているんじゃないかと、それがこのようなところに響いてきているんじゃないかと、骨や石を見ながら、考えた休日でした。

 ご静聴ありがとうございました。(長くなりました。)