曼珠沙華とアリョーシカ
こんばんは。水曜日のしばです。
曼珠沙華の咲き乱れる季節。
私が子供の頃通っていた学習塾は少し変わっていて、3月の終わりに演劇祭というのがありました。
小学校低学年、中学年、高学年、中学生3つ、OBに分かれて演劇をする。普段塾である場所を舞台と客席に分け、音響や照明を組み、背景や衣装を手作りし、台本を覚えお客さんを入れて金、土、日と3日間。
演目は様々で、特にOB劇(大人の劇と呼んでたな)はシェイクスピアやゴーリキー、唐十郎、福田善之などの大作をやるのでかなりのボリューム。
私は小1の時から通っていて、毎年演劇祭はすごく楽しみだった。大人と子供が入り混じり、メイク道具や布やガムテープの匂いがして、緊張したりセリフを復唱したりしながらソワソワする。独特の空間。
ある年、大人の劇が唐十郎の「愛の乞食」だったことがあった。
話自体はというと、ミドリのオバさんの格好の男の人が元海賊だったりサラリーマンが出てきたと思ったら曼珠沙華という名前の不思議女の子が出てきたり、金歯の話をしてたりと、何だか奇抜で「??」という部分が多かったけどその中で男が「まんじゅしゃげーーーー」と低く叫ぶシーンがあって、それが子供心に何だか凄く不思議に響いた。
なのでいまでも曼珠沙華(何となく彼岸花よりもしっくりくる)を見ると毎年あの低い「まんじゅしゃげーー」と呼ぶ声を思い出す。
ちなみに私は台本を渡された時、いつだってヒロインをやってみたかったのだけど、配役されるのは決まって鼻垂れ小僧様、とか卑弥呼(?)の侍女。風変わりな女といったヒロインとは程遠い役ばっかりで。。
でも一度だけ出た大人の劇。演目はゴーリキーの「どん底」でアリョーシカという靴屋の若者を演じた。
アリョーシカはどん底にいる人々の中で1人、空気を読まずに明るく能天気にアコーディオンを弾きながら歌って、おかみさんに怒られたりなんかして。という役所(と私は解釈して演じた)。
「オラ、弾いてやらぁ」
と言ってアコーディオン片手に舞台上をグルグル回って歌う。
でもさ、本当は辛さとか悲しさとか知ってるんだ。
でもさ、明るく歌うしかないじゃん。
歌おうぜ。
って思いながら演技した。
多分、私の根底にはアリョーシカが住んでる。
そして、いつまでもアリョーシカを抱えながらステージにいたいなと。
ヒロインにはなれなかったけど、大切な人に出会った。
曼珠沙華からだいぶ脱線しちゃったね。
それでは!